猫の食欲不振が急に起きたら|受診の目安と家で確かめること

白いフードボウルの横に座るグレーと白の猫。猫が急に食べないときの受診の目安と家で確認することを案内するアイキャッチ。

いつもならすぐに空になる皿に、ご飯が残ったままになっている。猫が急に食べなくなると、すぐ動物病院に連れて行くか、家で様子を見るかを決めることになります。

何日まで様子を見てよいかは、一律には決められません。口にした可能性のあるもの、食べていない時間、月齢(生後の月数)、ほかの症状、水を飲んでいるかどうかを、まず確かめます。中毒の原因になるものを口にしたかもしれないときは、時間を待たずにかかりつけの獣医師に連絡してください。

一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)が「こんな時はすぐ病院に」として挙げる条件は三つです。食欲不振とほかの症状(吐く・下痢・元気がないなど)が24時間続いたとき、ほかの症状はないが全く食べないか全く水を飲まない状態が36時間続いたとき、ほかの症状はないが食欲が落ちて72時間経っても改善しないときです。

子猫は、月齢が低いほど、食欲不振とされるまでの時間が短くなります。三つの条件のどれかに当たれば、動物病院に連絡してください。当たらない場合も、様子が変わったときや判断に迷うときは相談してください。

本記事は医学的助言ではありません。獣医師団体や大学などの情報をもとに、獣医師ではない飼い主がまとめています。診断や治療の判断はかかりつけの獣医師に相談してください。

目次

急に食べなくなったとき、最初に確かめること

すぐ病院に行く目安は、食べていない時間、ほかの症状があるか、水を飲んでいるかの組み合わせで分かれます。

子猫は月齢が低いほど食欲不振とされるまでの時間が短く、1〜2カ月齢では8時間、1歳以上では24時間食べない状態が続くと食欲不振とされます。この時間は、受診の相談を待ってよい時間ではありません。まず次のことを確かめてください。

  • 口にした可能性のあるもの(玉ねぎ・チョコレート・人の薬・ユリなど中毒の原因になるものなら、待たずに連絡する)
  • 全く食べていないか、食欲が落ちている程度か、その状態が続いている時間(目安が時間で示される)
  • 月齢(子猫は食欲不振とされる時間が短い)
  • 吐く・下痢・元気がないなど、ほかの症状(条件が分かれる)
  • 全く水を飲んでいないか(条件の一つ)
  • 便や尿を出そうとしても出ず、苦しんでいないか(すぐ病院へ行く状態の例)

    口にした可能性のあるものは、「すぐ動物病院に連絡したほうがよい様子」の表より先に確かめます。中毒の原因になるものを口にしたかもしれないときは、表の時間を待たずに獣医師に連絡してください。

    連絡先や、家で吐かせないことなどの注意は「異物や中毒の原因になるものを口にした可能性があるとき」にまとめています。便や尿を出そうとしても出ずに苦しんでいる様子は、すぐに病院へ行くべき状態の例とされています。

    下痢があるときは、次のような様子が1つでもあれば獣医師に相談してください。

    こんな症状がでたら獣医師に相談
    • 何回も下痢をする
    • 元気と食欲がない
    • 下痢と嘔吐がみられる
    • 便に血が多く混じる

    多量の血液、ひどい脱水、中毒の可能性があるときは、すぐ連絡したほうがよいとされています。

    受診の条件に当たるかは、「すぐ動物病院に連絡したほうがよい様子」の表で確かめてください。子猫は、「子猫と太り気味の猫で確かめたい、食べていない時間」の月齢ごとの表もあわせて見てください。

    異物や中毒の原因になるものを口にした可能性があるとき

    毒性のあるものを食べたかもしれないときは、直ちにかかりつけの獣医師に連絡してください。つながらないときは、地域の救急動物病院に連絡します。

    獣医師の指示がなければ、家で吐かせないでください。毒物によっては、胃に残っているより、吐くことで大きな害になるものがあります。

    原因になったものが分かる場合は、その見本かラベルを獣医師のもとへ持っていってください。

    猫に有毒なものとして、玉ねぎやチョコレートなどの人の食べ物、人の薬、ユリなどの植物が挙げられています。人の薬は、獣医師に相談せずに猫に与えないでください。ユリは、ごく少量でも腎臓に命にかかわる障害を起こすことがあるとされています。

    ひもや毛糸、床に落ちている輪ゴムなどの物も、嘔吐のよくある原因に挙げられています。ひもで遊んで飲み込むと、端が舌に引っかかって腸が引っ張られ、危険な状態になるとされています。

    ひもや輪ゴムなどを飲み込んだかもしれないときや、それまで元気だった猫が急に吐き始めたときも、動物病院に相談してください。

    すぐ動物病院に連絡したほうがよい様子

    けいれんしている、意識がない、便や尿を出そうとしても出ずに苦しんでいるといった様子があるときは、時間を待たずに動物病院に連絡してください。こうした様子は、すぐに病院へ行くべき状態の例に挙げられています。

    様子を見る日数を一律に区切ることはできず、目安になるのは症状と時間の組み合わせです。日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)が「こんな時はすぐ病院に」として挙げるのは、次の三つの条件です。

    猫の様子時間
    食欲不振とほかの症状(吐く・下痢・元気がないなど)がともにみられる24時間続いた
    他の症状はないが、全く食べない、または全く水を飲まない36時間続いた
    他の症状はないが食欲が落ちて、改善しない72時間経っても改善しない

    ほかの症状がなく、全く食べない、または全く水を飲まない状態が36時間続いた場合は、すぐ病院に行く目安です。

    表の時間は、相談せずに待ってよい時間ではありません。救急の症状に当たるか迷うときは、時間を待たずに動物病院に連絡してください。

    食欲不振の時間条件に当たらなくても、けいれん、意識がない、便や尿を出そうとしても出ずに苦しむなどの様子があれば、すぐに動物病院へ連絡してください。

    • けいれん
    • 意識がない
    • 便や尿を出そうとしても出ずに苦しむ
    • 苦しそうに痛がる
    • 正常に歩けない
    • 多量の出血

    吐いたものに多くの血が混じるときは、すぐ受診してください。1日に何回も吐くときは、水分が失われることだけを考えても受診が必要とされています。元気と食欲がなくぐったりして吐くときも、受診が必要です。

    子猫と太り気味の猫で確かめたい、食べていない時間

    子猫は、食べていない時間の目安が大人の猫より短く示されています。月齢ごとの「これ以上持続すれば食欲不振」とされる時間は、次のとおりです。4カ月齢を超え1歳未満の区分は示されていないため、表にもこの月齢の行はありません。

    月齢これ以上続けば食欲不振とされる時間
    1〜2カ月齢8時間
    2〜3カ月齢12時間
    3〜4カ月齢16時間
    1歳以上24時間

    子猫が表の時間を超えて食べていないときや、食べ方が気になるときは、早めに動物病院に相談してください。

    4カ月齢を超え1歳未満で食べていない子猫についても、ほかの月齢の時間を当てはめず、早めに動物病院へ相談してください。

    太り気味の猫が食べないときも、36時間を待たずに早めに動物病院に相談してください。

    とくに太った猫は、食べない状態が36時間を超えると、肝臓に脂肪がたまる「脂肪肝」という病気になるおそれがあるとされています。太り気味に当たるか迷うときも、同じように早めに相談してください。

    高齢の猫は、行動や体の状態にどんな変化があっても、獣医師に連絡してください。JBVPの月齢別一覧には、高齢の猫だけの区分はありません。高齢の猫の変化を、年のせいで治療できないものと決めつけないようにしましょう。

    高齢の猫がフードを食べないときに確かめたい原因と、食べてもらう工夫は、高齢猫がフードを食べない|受診の目安と食べてもらう工夫で解説しています。

    急に食べなくなるときに考えられる原因

    食欲がないときは、正常な行動としての食欲不振、食事そのものの問題、病気の順に考えるとされています。

    見た目の様子だけでは、どれが原因かを家で決めつけることはできません。原因の手がかりを探すより先に、「すぐ動物病院に連絡したほうがよい様子」の条件に当たるかを確かめてください。

    引っ越し・来客・大きな音など、環境の変化のあと

    環境の変化のあとに、食べなくなることはあります。何かをこわがっているとき、落ち着かないとき、興奮しているときは、食欲がなくなるとされています。引っ越し直後、旅行中、旅行から帰ってきたときなどの環境の変化でも同じです。

    来客や大きな音のあとは、それ自体よりも、猫がこわがっている、落ち着かない様子かどうかで考えます。

    ただし、環境が変わったから食べないのだと決めることはできません。ほかの症状があるときや、受診の目安の時間を過ぎたときは、環境の変化があっても動物病院に相談してください。

    食事を変えた・いつもの食事を拒むとき

    食欲がない理由の一つに、食事そのものの問題があります。一部の猫は、それまで食べていたものに飽きてしまうことがあります。いつもと違うものをあげると拒否することもよくあり、前の食事で食べ過ぎて、まだおなかがすいていないこともあります。

    食事を変えた直後や、いつもの食事を拒んでいるときでも、それだけで様子見を続けてよいとは決められません。受診の目安の表に当たるかどうかは、それとは別に確かめてください。

    ご飯は食べないのにチュールなどのおやつは食べるときの受診の目安と、ご飯に戻す工夫は、猫がご飯を食べないのにチュールは食べる|受診の目安とご飯に戻す工夫で解説しています。

    口の中の痛みや、熱など体の不調

    熱や消化器(胃や腸など)の病気、おなかやほかの部位の痛みでも、食欲が落ちることがあります。口内炎で口が痛くて食べられないこともあります。原因を家で決めつけず、猫の様子を動物病院に伝えてください。

    口が臭い、よだれが出る、食べるときに痛がるといった様子は、口内炎を疑う症状に挙げられています。猫は口の中の病気が比較的多い一方で、口を開けるのをいやがります。そのため、症状がかなり進んでから受診することが多いとされています。

    こうした様子に気づいたときは、動物病院に相談してください。

    動物病院に連絡する前に、メモしておくと伝わりやすいこと

    動物病院に連絡するときは、症状が始まった時期、食欲と元気、吐いた回数や内容、下痢や便の様子をメモしておくと伝えやすくなります。

    • いつから始まり、どのくらい続いているか
    • 食欲と元気
    • 1日に吐く回数と、吐いたもの
    • 1日の下痢の回数と、便の様子
    • 水をがぶ飲みしていないか、尿が多くないか
    • 変なものを食べなかったか
    • 食事を変えていないか
    • ストレスや恐怖はないか

    ふだんからかかりつけの病院を決め、救急のときにみてくれる先生を調べておきましょう。救急のときは、動物病院に連絡して猫の状態を説明し、受け入れの準備をしてもらうとよいとされています。

    様子を見る間に家でできること

    何日までなら様子を見てよいという決まりはありません。家で様子を見るのは、「すぐ動物病院に連絡したほうがよい様子」の表の条件にも、けいれんなどの救急の様子にも当たらない場合に限ります。

    その場合も、様子が変わったときや判断に迷うときは動物病院に相談してください。そのあいだに家でできるのは、食事の出し方を見直すことと、食べた量や様子の変化に目を配ることです。

    食事の出し方は、静かな場所で清潔な皿に少量ずつ出すなどの工夫を「食事の出し方で試せること」にまとめています。

    様子を見ているあいだに、ほかの症状が出たときや、全く食べない、または全く水を飲まない状態が続いたときは、受診の目安の表に照らしてください。判断に迷うときも、動物病院に相談してください。

    食事の出し方で試せること

    食欲がない猫には、静かな場所で、清潔な皿に少量の食事を出す方法が挙げられています。

    • 静かな環境で出す
    • 清潔な皿、できれば平たい皿を使う
    • 少量のおいしそうなもの、よい匂いのものを選ぶ
    • 冷たすぎず熱すぎない温度にする
    • 少量ずつ頻繁に出す

    食べない場合は、10分以内に片づけます。

    食事の出し方を変えても食べないときや、受診の目安に当たるときは、動物病院に連絡してください。

    無理に食べさせる前に獣医師に相談する

    口に食べ物を入れて食べさせる方法が必要かどうかは、獣医師に相談し、その指示に従ってください。

    口を開けて小さな食べ物を入れて食べさせる方法を、強制給餌といいます。強制給餌は、食べ物が散らかりやすく、口に入れても効果が乏しいことがあるとされています。

    無理に口に入れると、猫が食べ物をいっそう嫌がるようになることがあります。

    栄養の補給は、獣医師の助言のもとで行うものとされています。

    よくある質問

    水は飲む、吐いている、寝てばかりいる、おやつだけは食べる、高齢の猫が食べないといった迷いやすい場面でも、食べていない時間とほかの症状を確かめてください。

    水は飲むのにご飯を食べないときは、様子を見てよいですか

    水を飲んでいることだけでは、様子を見てよいとは決められません。

    ほかの症状がないまま全く食べない状態が36時間続いたときは、すぐ病院に行く条件に挙げられています。ほかの症状はなくても食欲が落ち、72時間経っても改善しないときも同じです。ほかの症状があれば、食欲不振と合わせて24時間続いたときが条件です。

    脱水の症状があって、水を飲まない、あるいは食事をとらないときは、病院で水分を補給してもらう必要があるとされています。毛並みが悪く、皮膚をつまんですぐに戻らなければ、脱水しているとされています。

    食欲と水を飲む様子に関する受診の目安は、日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)の「食欲不振」「水を飲まない」にもとづいています。

    食べずに吐いているのはなぜですか。何を伝えて相談すればよいですか

    吐く原因は一つに限られません。胃腸の病気のほか、全身の病気や神経の病気、精神的なものも原因になります。吐く動作だけで何も出ない場合や、食べたものをすぐ吐く場合など、様子によって原因が異なることもあり、どれに当たるかは家では決められません。

    相談するときは、1日に吐いた回数、吐いたもの、いつから始まったかを伝えてください。獣医師が正しく診断するには、正しい情報を伝える必要があるとされています。

    1日に何回も吐く、元気と食欲もない、吐いたものに血が多く混じるなど、1つでもあれば、24時間を待たずに獣医師に相談してください。こうした様子がなくても、食べずに吐くことが24時間続いたときは、受診の目安に当たります。

    嘔吐の様子と受診時に伝える情報は、日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)の「嘔吐」「食欲不振」にもとづいています。

    食べずに寝てばかりいるとき、普段と何が違えば相談しますか

    食べないうえに元気がなく寝てばかりいる状態が24時間続いたときは、すぐ病院に行く目安に当たります。救急に当たる様子があれば、時間を待たずに連絡してください。寝てばかりいる理由は、その様子だけでは決められません。

    高齢の猫で、元気がないときや寝る時間が普段と違うときは、その変化を動物病院に伝えて相談してください。

    高齢の猫は、急な変化でも緩やかな変化でも、行動や健康の変化があれば遅れずに獣医師に診せてください。睡眠や食事のパターンの変化は、老化のサインの一覧に挙げられています。寝る時間や食べ方が普段と違うと感じて迷うときは、動物病院に相談してください。

    食欲と高齢の猫の行動変化についての説明は、日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)の「食欲不振」と、米国コーネル大学 猫の健康センターの「Loving Care for Older Cats」にもとづいています。

    チュールやおやつだけは食べるときは、病気ではないのですか

    おやつを食べることは、病気ではない根拠にはなりません。食欲がない原因には、それまで食べていたものに飽きる、いつもと違うものを拒むといった食事そのものの問題と、熱、消化器の病気、痛み、口内炎などの病気があります。

    おやつは食べてご飯を残す様子からは、このどちらなのかを家で区別できません。ご飯を食べていない時間とほかの症状を確かめ、受診の目安に照らしてください。

    食べる物の変化を確認する説明は、日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)の「食欲不振」にもとづいています。

    高齢の猫が急に食べなくなったのは、年のせいと考えてよいですか

    年のせいと決めつけず、獣医師に相談してください。高齢の猫の行動や体の変化は、よくある病気や歯の問題のサインである可能性があります。

    健康な高齢の猫でも、においを感じる力の衰えより歯の不快感のほうが、食べたがらない原因になる可能性が高いとされています。さまざまな病気も、食欲が落ちる原因になるとされています。

    受診の目安は「すぐ動物病院に連絡したほうがよい様子」の表で確かめ、当たらなくても変化が気になるときは動物病院に相談してください。猫は病気を隠すのが上手で、高齢の猫も同じです。重い病気があっても、かなり進むまでサインを見せないことがあります。

    高齢の猫の食事や行動の変化への注意点は、米国コーネル大学 猫の健康センターの「The Special Needs of the Senior Cat」「Loving Care for Older Cats」にもとづいています。

    まとめ:受診の目安に当たるか確かめ、迷ったら動物病院に相談する

    猫が急に食べなくなったら、まず中毒の原因になるものを口にした可能性を確かめてください。

    まとめ
    • 中毒の原因になるものを口にした可能性があれば、時間を待たずに動物病院に連絡する。急に吐き始め、ひも・輪ゴムなどの誤飲が考えられるときも、動物病院に相談する
    • 食べていない時間、月齢、ほかの症状、水を飲んでいるかを確かめる
    • 受診の目安に当たれば、メモを手元に置いて動物病院に連絡する
    • 当たらなくても、子猫・太り気味の猫・高齢の猫で食べ方が気になるときや、様子が変わったときは動物病院に相談する。家では食事の出し方を見直しながら様子の変化を見る
    • 迷ったときは、かかりつけの動物病院に相談する
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    この記事を書いた人

    保護して迎えた猫のこてつ1匹と暮らす飼い主です。実体験と公開資料を調べた内容を分けて書いています。獣医師ではなく、動物の医療・栄養に関する資格はありません。

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