猫の寒さ対策|寒がるサイン・室温の考え方・暖房器具の注意

明るい窓辺のクリーム色の毛布でくつろぐグレーと白の猫。猫の寒さ対策として寝床・室温・暖房器具の確認ポイントを案内するアイキャッチ。

室内で暮らす猫の寒さ対策で押さえたいことは、次のとおりです。

  • 暖かい寝床を家の何か所かに用意し、暑すぎるときに移れる場所も残す
  • 暖房器具は、やけどと火災に気をつけて使う
  • 体温が下がったときのサインがあれば、できるだけ早く動物病院に相談する

室温は数字だけで決めず、暖かい場所と涼しい場所を用意して、猫がどちらで過ごすかを選べるようにします。

猫などを飼う人に向けた環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」にも、室温の具体的な数値は示されていません。猫の様子を見ながら整えてください。

体温が下がったときのサインは、米国の動物病院の団体が挙げる、震える、力が入らない、ぐったりするなどの様子です。震えの有無だけでは判断せず、ほかのサインもあわせて見ます。

本記事は医学的助言ではありません。獣医師団体や大学などの情報をもとに、獣医師ではない飼い主がまとめています。診断や治療の判断はかかりつけの獣医師に相談してください。

目次

室温の考え方:暖かい場所と涼しい場所の両方を用意する

暖房で暑くなりすぎたときに猫が移れるよう、暖かい場所のほかに涼しい場所も残しておいてください。

環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」は、数値ではなく、飼う場所での「適切な温度や湿度の維持」を求めています。

室温を何度にするか迷うときは、猫の様子を見ながら、かかりつけの獣医師に相談してください。

寝床の置き方

寝床は、猫が無理なく使える場所を選んで置きます。置き方の目安は、次のとおりです。

  • 暖かい場所・日の当たる場所・静かな場所などに分けて置く
  • 床より高い位置も候補にし、上りにくい猫には無理なく届く場所に寝床を置く
  • 冬など涼しい時期は、熱源の近くや日の当たる場所に置く
  • 覆いのある場所と開けた場所を組み合わせる

床より高い位置を候補にするのは、床で寝るのを不安に感じる猫が多いとされているためです。暑い時期には、涼しい場所を好む猫もいるとされています。

高齢の猫の寝床は、すきま風の当たる場所に置かないようにしてください。

電源を使わない寝床の工夫

電源を使わない寝床として、すきま風を避けた場所に、箱や洗える寝具を用意します。

方法理由と気をつけること
体がすっぽり入るハウスや段ボール箱にタオルなどを敷く狭いところを好む猫の寝床に。すきま風の当たる場所に置かない
お気に入りの場所に暖かい寝具を置く専用の猫ベッドでなくてもよい場合がある。寝具は洗えるものにする
洗える保温性のブランケットを置く高齢の猫を暖かく保つ助けになる

寝具は、かじられて誤飲につながることがあるため注意してください。いつも噛んでいたマットやしゃぶっていたセーターなどを猫がボロボロにし、切れ端を飲み込むことがあります。

エアコンで部屋を暖めるとき

エアコンを使うときは、風が猫に直接当たらないようにし、いつでも自由に新鮮な水を飲めるようにしておきます。この注意は、環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」が、エアコン使用時の注意として挙げている内容です。

このガイドラインの温度と湿度の注意は、主に夏の高温や西日の強い環境、夏の留守番を想定したものです。冬の暖房に向けた注意ではありません。風を直接当てない点は、冬にエアコンを使うときの参考にもなります。

エアコンで部屋全体を暖めるときも、暖まりすぎたときに猫が移れる涼しい場所を残しておくと安心です。

暖房器具を使うときの注意(ストーブ・床暖房・ペット用ヒーター)

やけどをしないよう、猫をストーブ類から守ってください。猫は暖かさを求めて、ストーブ類に寄っていくためです。

ストーブに寄りすぎる猫は、ストーブから離れさせます。毛を焦がし、さらに近づけばやけどの心配もあるためです。床暖房の上で寝続けて低温やけどを起こす猫もいます。

埼玉県獣医師会は、症状として脱毛と皮膚の赤みを挙げ、床暖房の上にタオルを2〜3枚重ねて敷くよう案内しています。電気コードを噛む猫には感電の心配があるため、コードをできるだけ隠すか、カバーを付けてください。

暖房器具の周りには、燃えやすい物を置かないでください。ペットがストーブを倒すと、熱くなった面に燃えやすい物が触れて火が出るおそれがあるためです。

製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかける事例に、犬1匹と猫6匹を飼う家の火災があります。ペットが触れて倒れた電気ストーブのヒーター面が近くの枕に触れ、火が付いたと推定されています。

ペット用ヒーターの一つに、ヒートパッドがあります。電源につなぐタイプと電子レンジで温めるタイプがあり、猫の隠れ場所や寝床を温める道具として紹介されています。

気温の低い時期や地域では、こうしたヒートパッドが猫に特に喜ばれるとされています。ヒートパッドを使う場合の温度や使用時間の目安は、かかりつけの獣医師に相談して決めてください。

猫の寝床全般は、暖かく、熱すぎない程度にとどめてください。熱すぎると、素早く動けない猫がやけどをするおそれがあります。

暖房器具を使う前に、次の点を確かめてください。

  • ストーブから猫を離せる置き方か
  • 床暖房の上にタオルを重ねて敷いたか
  • 電気コードを隠すか、カバーを付けたか
  • 暖房器具の周りに燃えやすい物が無いか
  • 寝床が熱くなりすぎていないか

やけどが疑われるとき

やけどが疑われるときは、動物病院に相談してください。軽いやけどのサインは、次のようなものです。

  • 毛が焼けている
  • 皮膚が赤くなる
  • 軽く腫れる
  • 水ぶくれができる
  • 触ると痛がる

軽いやけどでは、傷をなめたり引っかいたりしないようにします。冷たい水をつけたきれいなタオルを傷にかぶせて押さえたうえで、動物病院で感染予防などの処置を受けてください。

広い・深いやけど、電気によるやけど、顔や気道(鼻やのどから肺へ続く空気の通り道)のやけどは、すぐに治療が必要とされています。

毛が傷を隠すため、やけどは程度を見極めにくいとされています。軽く見えても自己判断で様子を見ず、動物病院に相談してください。

出かける前や目を離す前の片づけと用意

留守中に暖房器具を付けたままにしてよいかは、器具や使い方によって異なるため、一律には決められません。付けたままにする場合も切る場合も、出かける前に次のことを確かめてください。

  • 暖房器具の周りに燃えやすい物や餌・おもちゃが無い
  • 使わない電気製品のプラグを抜き、猫の届かない所に置いた
  • 暖かい寝床をいくつかの場所に用意した
  • 新鮮な水を用意した
  • 静かな場所にトイレがある

製品事故の注意を呼びかけている製品評価技術基盤機構(NITE)は、こんろや暖房器具の周りに、餌・おもちゃなどペットの興味を引く物も置かないよう呼びかけています。

目を離すときや出かけるときに、ペットをケージに入れておく方法も挙げています。

寒さに弱い猫への配慮(高齢の猫・病気の猫・子猫など)

米国コーネル大学 獣医学部の獣医師は、犬と猫に共通する注意として、凍えるような環境に長くさらされる場合には、子猫のようにとても若い動物、高齢の動物、毛の短い品種が特に寒さの影響を受けやすいと述べています。

高齢の猫や病気の猫のうち、活動量が少ない、筋肉や体重が落ちている、体温を保つのが難しい猫は、冬に追加の配慮が要ります。暖かくすきま風のない休む場所を、たくさん用意してください。

関節炎のある猫は、少し多めの暖かさを特に喜ぶといわれます。高齢になると跳び上がるのが難しくなるため、次のような用意があります。

  • お気に入りの寝場所に届くスロープや踏み台
  • 狭い窓辺の下に敷き、衝撃をやわらげるクッション
  • 洗える保温性のブランケット

持病がある猫で寝床の暖め方に迷うときは、かかりつけの獣医師に相談してください。

高齢の猫の寝床やトイレなど、家の中で先に見直す場所は、老猫の介護|家の中で先に変える場所と毎日の世話で解説しています。

寒がるサインと体が冷えすぎているときの受診の目安

猫が暖房器具に寄っていくのは、寒がっているときに限りません。猫はもともと暖かい場所を好み、暖かい「ホットスポット」を探して暖房器具に寄っていくことがあるためです。

暖かい場所にいるというしぐさだけでは、寒がっているとは言い切れません。

寒さで体温が正常より大きく下がる状態を低体温症といいます。寒さにさらされて起こり、そのままにすると臓器の働きに影響して命にかかわることがあるとされています。サインは次のとおりです。

段階サイン
初期・震え
・力が入らない
・皮膚が青白い・冷たい
進んだとき・元気がなくぐったりする
・混乱した様子
・呼吸がゆっくりになる
・心拍がゆっくりになる

ただし震えは、米国動物病院協会(AAHA)は初期のサインに挙げていますが、メルク獣医マニュアル(Merck Veterinary Manual)の飼い主向け版は、低体温症の信頼できるサインではないとしています。

震えていないからと安心せず、ほかのサインもあわせて見てください。

どちらの資料も屋外の凍えるような寒さを想定した内容を含んでおり、室内飼いの猫にそのまま当てはまるとは限りません。

室内飼いの猫でも、低体温症が疑われるサインがあれば、暖かい毛布で包み、できるだけ早く動物病院に相談してください。

冬に見る飲水とトイレの変化

冬は、水を飲む量とトイレの様子に目を配っておきたい時期です。埼玉県獣医師会は、寒い時期には猫の運動量と飲水量が減るとして、排尿の変化への注意を呼びかけています。

この案内は、季節ごとの発症数を示したものではなく、寒い時期に気をつけたいという呼びかけです。

次の5つの症状に気づいたら、かかりつけの動物病院で診察を受けてください。

  • 頻繁に排尿する
  • 排尿しづらそう・尿が出ない・痛そうに鳴く
  • トイレ以外で排尿する
  • 血尿が出る
  • 陰部をよくなめる

トイレに行っても尿が出ないときは、様子を見ずにすぐかかりつけの動物病院に連絡してください。

尿が出にくそうにしているときも、早めに診察を受けてください。雄猫は尿道が細長く、結石や粘液状のもので詰まりやすいとされています。詰まったままにすると、腎臓の働きが急に落ちて命にかかわることもあるとされています。

冬は水を飲む量が減りやすいため、水を十分に与えてください。水分が少ないと尿が濃くなり、結晶ができやすくなるためです。

  • 水をお気に入りの場所に置く
  • こまめに新鮮な水に替える
  • 水を何か所かに置く
  • トイレの隣には置かない

トイレは清潔に保ってください。トイレが汚れていると猫は排尿を我慢することがあり、尿が膀胱にとどまる時間が長いと結石ができやすくなるとされています。

尿に血が混じる、何度もトイレに行くといったときの受診の目安は、猫の膀胱炎と血尿|急いで受診する目安と考えられる原因で解説しています。

よくある質問

猫が耐えられる気温に一律の下限はありますか

環境省の「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」には、気温の下限は示されていません。気温の数字だけで判断せず、体温が下がったときのサインが無いかを見ます。力が入らない、皮膚が青白い・冷たい、ぐったりするなどのサインがあれば、できるだけ早く動物病院に相談してください。

高齢の猫や短毛の猫では特に、体が冷えていないかに気を配ってください。毛の厚いペットを含めてどのペットも凍えるような寒さに弱く、高齢のペットや短毛のペットは特に寒さに敏感だとされています。

暖房なしで冬を越せますか

住まいや猫の状態によって違うため、一律には答えられません。暖かい寝床をすきま風の当たらない場所に用意し、猫が無理なく使えるかを確認してください。

活動量が少ない、筋肉や体重が落ちている、体温を保つのが難しい猫を暖房なしで過ごさせてよいか迷うときは、かかりつけの獣医師に相談してください。

湯たんぽを使ってもよいですか

ふだんの防寒に湯たんぽを使ってよいかは、猫の状態や使い方で変わります。使うかどうかと使うときの温度は、使う前にかかりつけの獣医師に相談して決めてください。使う場合に気をつけたいのは、寝床を熱くしすぎないことです。寝床が熱すぎると、素早く動けない猫がやけどをするおそれがあります。

お湯を入れたボトルで温める方法は、ふだんの防寒ではなく、体温が下がった猫の応急処置として紹介されているものです。熱くないお湯を入れたボトルをタオルで包み、体温をゆっくり上げる方法です。こすったり、非常に熱いお湯を当てたりしないよう注意が必要とされています。応急処置のやり方なので、ふだんの防寒で湯たんぽを使うときの目安にはしないでください。毛が焼けている、皮膚が赤い、水ぶくれがあるなど、やけどが疑われるときは動物病院に相談してください。

寒さで猫風邪をひきますか

寒さが猫風邪の原因になると言い切れないため、症状に目を配ってください。急に元気や食欲がなくなって熱が出たときや、鼻水やくしゃみが続くときは、動物病院に相談してください。急な元気や食欲の低下と発熱に加えて、結膜炎・涙目・鼻水・激しいくしゃみが出る症状は、猫ウイルス性鼻気管炎の症状として紹介されています。猫カリシウイルスという別のウイルスでも、よく似た症状が出ることがあるとされています。猫ウイルス性鼻気管炎は病気の名前で、原因は猫ヘルペスウイルスです。猫ヘルペスウイルスは感染した猫のくしゃみや分泌液からうつり、一度かかった猫では、免疫が下がったときやストレスを受けたときにまた出てくることがあります。

予防の原則は感染源との接触を断つこととワクチンとされ、猫の3種混合ワクチンにはカリシウイルスも入っています。ワクチンについてはかかりつけの獣医師に相談してください。

冬は猫のご飯の量が増えても大丈夫ですか

冬は体温を保つために食べる量が増えることがある一方、寒い時期は室内にいたがって運動が減ることもあります。そのため、量を増やしてよいかは猫によって変わります。運動が減りすぎないよう遊びを工夫し、体重の変化を確かめるようにしてください。

体重や食べ方の変化が気になるときや、ご飯の量を変えるか迷うときは、動物病院に相談してください。環境省の基準でも、餌と水は種類や発育状況などに応じて適正に与えるよう求められています。

まとめ:寝床と暖房器具を整え、体の冷えのサインを見逃さない

最後に記事の内容をまとめます。

まとめ
  • 暖かくすきま風のない寝床をいくつかの場所に用意し、涼しい場所も残す
  • ストーブ・床暖房などの暖房器具が、やけどや火災につながらない使い方かを確かめる
  • 出かける前や目を離すときに、暖房器具の周りの物と電気製品のプラグを片づける
  • 子猫・高齢の猫・病気の猫かどうかを確かめ、暖かい寝床を増やし、高齢の猫には段差の用意も足す
  • 震えの有無だけで判断せず、力が入らない・ぐったりする・呼吸がゆっくりになるなど、体温が下がったときのサインを見る
  • 水を飲む量とトイレの様子を見る
  • 心配なサインがあれば、動物病院に相談する
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この記事を書いた人

保護して迎えた猫のこてつ1匹と暮らす飼い主です。実体験と公開資料を調べた内容を分けて書いています。獣医師ではなく、動物の医療・栄養に関する資格はありません。

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